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家の収納の割合は何%が理想?計画時に知るべき収納率と設計のポイント

収納

「収納、こんなに足りなかったなんて…」
新築やリフォームで、意外と多い後悔ポイント。それが収納です。

間取りやデザインに夢中になるあまり、収納の“割合”はつい後回しにしがち。
でも、生活が始まると一気に現実が見えてきます。

この記事では、

  • 家の収納割合は何%が理想なのか?
  • 家族構成や生活スタイルでどう変わるのか?
  • 後悔しないための収納の考え方は?

このような疑問を、データと実例をもとにやさしく解説していきます。

収納が足りなくて困らないために。 ぜひこの記事を参考にしてください!

今回の記事のポイント
✔︎家の収納に必要な割合(目安)が明確になる
✔︎収納不足を防ぐための計画方法がわかる
✔︎収納割合は家族構成や生活スタイルで変わる

初稿:2025/7/24

目次

家の収納割合の重要性と理想の基準

収納はただの「しまう場所」ではありません。家全体の住み心地や快適さに直結する“暮らしの土台”です。収納が足りないと、片付かない→ごちゃごちゃする→ストレスがたまる…という負のスパイラルに。だからこそ家づくりでは「どれくらい収納が必要か=収納の割合」をしっかり押さえておくことが重要です。ここでは収納割合の基本から、理想とされる目安、プロ視点の考え方まで丁寧に解説していきます。

収納

収納の量は、実は家の満足度に大きな影響を与えます。「収納が足りない」と感じると、部屋に物があふれ、片付けてもすぐに散らかってしまう状態になりますよね。結果、掃除のモチベーションが下がったり、家事のストレスが増えたりします。

逆に、十分な収納があれば「必要なものがすぐ出せる」「片付けが簡単にできる」など、日々の暮らしに余裕が生まれます。これは心理的にも大きなメリット。「物に振り回されない生活」こそ、収納が整った家がもたらす安心感なんです。

また、収納が足りないことで後から収納家具を増やすと、部屋が狭くなり生活動線も悪化。収納は“後から足す”のではなく、“最初から設計する”べき項目なんですね。

収納

収納率とは「延べ床面積に対して収納スペースが占める割合」のこと。国土交通省や住宅業界では、おおむね10〜15%が理想とされています。中でも「15%」という数字は、“片付けが苦手な人でも快適に暮らせる”とされる収納基準です。

たとえば延べ床面積30坪(約100㎡)の家であれば、収納スペースは約15㎡(約9畳分)という計算になります。これくらいあれば、日常的に使う物から季節物までしっかり収まるとされています。

ただし、家族構成やライフスタイルによって“必要な収納量”は変わるため、15%はあくまで目安。モノの量や使い方も加味して考えることが大切です。

間取り図
延べ床面積理想的な収納率15%必要収納スペース(畳換算)
20坪(約66㎡)約10㎡約6畳
30坪(約100㎡)約15㎡約9畳
40坪(約132㎡)約20㎡約12畳

建築士や設計士の多くが「収納率は15%前後を基準に」と言いますが、重要なのは“数字”よりも“実際にどう使うか”です。

プロはまず、家族構成と所有物の量、生活スタイルをヒアリングします。たとえば共働き世帯なら家事動線上に収納を集中させる、子育て家庭なら成長に合わせて収納の形を変えられる設計にするなど、「収納量」だけでなく「収納の質」にもこだわるのがプロの視点。

また、同じ畳数でも「ウォークインクローゼット」のように通路スペースが必要な収納は、実質の収納量が減ります。つまり、畳数=収納量ではないということ。図面上の広さだけでなく、“実際にどこまで使えるか”まで計算に入れるのが、本当に後悔しない収納設計なんです。

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収納割合の目安をタイプ別に解説

収納の理想割合は「15%」が目安と言われますが、これは万人に共通ではありません。家族の人数、年齢層、ライフスタイルによって“必要な収納量”は大きく変わります。ここでは、一人暮らし・子育て世帯・趣味や在宅ワークのある家庭など、タイプ別にどれくらいの収納が適切なのかを具体的に解説していきます。あなたにぴったりな収納割合を考えるヒントにしてください。

家族

一人暮らし・共働き夫婦の場合

一人暮らしや共働き夫婦の家庭では、比較的モノが少ない傾向があります。そのため、収納率は10〜12%程度でも十分に快適に過ごせるケースが多いです。

ポイントは“生活動線に沿った配置”。たとえば玄関横にコートやカバンを収納するスペース、キッチン周りに食材や家電をスッキリ収める棚など、使う場所の近くに収納があるだけで生活の効率が大きく変わります。

また、来客時に見える場所は「見せる収納」にするなど、コンパクトな暮らしだからこそ“見た目と機能のバランス”を考えるのがおすすめです。

快適に暮らすためのポイント:

  • 動線上に収納を配置する
  • よく使う物だけを厳選して収納
  • 見せる収納を取り入れてインテリア性もUP
一人暮らし

小さな子どもがいる家庭の場合

子どもがいる家庭は、成長とともに“モノがどんどん増える”のが特徴です。おもちゃ、服、学校用品、思い出の作品など、気づけば収納があふれている…なんてことも。だからこそ収納率15%以上はしっかり確保しておきたいところです。

また、子ども自身が「片付けられる」環境づくりも大切。手の届く位置に収納をつくる、ジャンルごとに分類する、などの工夫で“自分でできる片付け”を育てることができます。

さらに、季節物やサイズアウトした服を一時的に保管する収納も必要になるため、「一時保管ゾーン」も計画しておくと安心です。

失敗しない収納の工夫:

  • 子どもが自分で使える位置に収納を配置
  • モノの入れ替えや循環を見越した“余白”をつくる
  • 学校用品・おもちゃ・思い出グッズのエリア分け
おもちゃ

収納が多く必要な趣味や仕事がある家庭の場合

趣味の道具が多い家庭や、在宅ワークで仕事スペースを設けている家庭では、収納の必要量は平均よりも多めになります。たとえばDIY道具、カメラ機材、釣り道具、資料や書類…こういったモノは「見せたくないけど、すぐ使いたい」ものばかりです。

このタイプの家庭では、収納率15〜20%が理想的です。また、“種類別に分けた収納”と“使用頻度に応じた収納位置”が重要。頻繁に使う物は出しやすく、たまに使う物は奥へ、というように使いやすさを重視したアイディアが日常のストレスを減らせます。

満足度が高くなる収納術:

  • 趣味や仕事用の専用収納スペースをつくる
  • 頻度に応じた「取り出しやすさ」で配置する
  • 家族と共有しない“個人エリア”を確保する
趣味部屋

ウォークインクローゼットの注意点

「ウォークインクローゼットがあると収納力抜群」…と思いがちですが、実は落とし穴があります。人気がある収納スタイルですが、通路を確保する分“実質の収納量”は思ったより少ないことも。さらに、間取りによっては使いにくくなることもあるため、「広さ」より「使いやすさ」に目を向けることが大切です。この見出しでは、ウォークイン収納の意外な落とし穴と選び方のコツを解説します。

ウォークインクローゼット

通路部分で収納量が減るって本当?

はい、これは本当です。ウォークインクローゼット(WIC)は中に人が入って使う設計なので、“通路スペース”が必要になります。この通路がある分、実際に「物を収納できるスペース」は少なくなってしまうんです。

たとえば2畳のWICを設けた場合、見た目には広く感じるかもしれませんが、実際に収納できるのは1〜1.3畳分程度。通路部分が約半分を占めてしまうケースも珍しくありません。

このように、「広さ=収納量」ではないことを理解しておくことが重要です。間取り図に収納スペースとしてWICが描かれていても、使える面積は案外少ないため想像より狭いと感じることも。WICを設置するなら、広さよりも奥行き・棚配置・動線など、レイアウトの工夫が必要です

以下に通常収納との収納効率を比較した表を示します。

種類表示面積実際の収納可能面積特徴
ウォークインクローゼット2畳約1〜1.3畳分通路が必要/見た目は良いが収納効率は低め
壁面クローゼット2畳約1.8〜2.0畳分通路不要/全面収納に使える/効率が高い
人 ウォークイン

ウォークインと通常収納、どちらが使いやすい?

答えは「使い方次第」です。見た目にインパクトのあるウォークインクローゼット(WIC)は人気ですが、必ずしも誰にとっても使いやすいとは限りません。

WICは洋服を一覧で確認できる・自分だけの空間が作れるというメリットがあります。ただし、間取りによっては通路が狭くて物の出し入れがしづらかったり、奥がデッドスペースになりがちだったりといったデメリットもあります。

一方で壁面クローゼットや押し入れなどの「通常収納」は、収納の中に人が入らない分、スペースをすべて“物をしまう”ために使えます。見た目は地味ですが、収納効率と動線のよさでいえば通常収納の方が優れているケースが多いです。

WICを選ぶなら「広さ」だけでなく、実際に何をどう収納したいのか?を明確にしたうえで検討しましょう。

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収納割合を確保する5つの工夫

収納の理想割合がわかっても、実際にどう確保するかは別の話です。設計段階で見落としがちなポイントを押さえないと、結局「足りなかった…」という後悔につながります。このパートでは、間取りやライフスタイルに合わせて収納割合をムダなく確保するための5つの工夫を紹介します。今ある物と、これから増える物。その両方を見据えて、効率よく、後悔のない収納計画を立てましょう。

工夫

通常収納+保管収納のバランスを取る

収納には「日常で使うものをしまう収納」と、「年に数回しか使わないものを保管する収納」の2種類があります。このバランスが悪いと、普段使いの収納がパンパンになったり、保管物が生活空間を圧迫したりします。

たとえば、雛人形や季節家電、アルバムなどは明らかに“保管収納”向け。逆に、掃除道具・文房具・日用品のストックは“通常収納”が必要です。この2つの性質を混在させないことで、使いやすさも管理のしやすさもグッと上がります。

バランスを取るための工夫:

  • 頻度別に収納エリアを分ける
  • 保管物はロフトや天袋など“アクセスが少ない場所”へ
  • 日常品は動線上やすぐ手に取れる場所に配置する
バランス

見せる収納と隠す収納の使い分け

収納=全部隠す、と思っていませんか? 実は「見せる収納」と「隠す収納」を上手に使い分けることで、部屋はグッと使いやすくなります。

たとえば、読みかけの本やお気に入りの雑貨はオープン棚に“あえて見せる”。逆に、ごちゃつくケーブルや生活感のある日用品は扉付きの収納にしまう。このようにメリハリをつけると、空間が整理されて見えるだけでなく、収納場所に悩む時間も減ります。

使い分けのポイント:

  • 毎日使う&見せたいもの→オープン収納へ
  • 生活感のある物→扉付き収納へ
  • 子ども用品は“手が届きやすく、でも隠せる”がベスト
見せる収納

収納の位置と生活動線の関係

収納の「量」だけでなく、「位置」も非常に大切です。収納がどこにあるかで、日常の動作がスムーズになるかどうかが決まります

たとえば玄関にコートや傘、リビング近くに掃除道具や文房具、キッチンに食品ストック…など、それぞれの場所に適した収納があるだけで、動線が短くなり、無駄な移動や出し戻しのストレスが激減します。

「とりあえず空いてる場所に収納を作る」のではなく、使う物を使う場所に置けるか?という視点で計画するのがポイント。これだけで暮らしの質が大きく変わります。

とくに忙しい家庭や子育て世帯では、“収納が遠い”だけで時間もストレスも倍増するので、ぜひ意識したいところです。

導線

収納率を図面で確認する方法

設計段階での後悔を防ぐには、間取り図から「収納率」を自分でチェックできるようになるのが理想です。

方法はシンプル。収納として使える面積を全て足し、それを延べ床面積で割って%を出します。意外とこの確認をせずに家を建ててしまい、後から「こんなに少なかったなんて…」と気づく人が多いんです。

ただし注意点として、“WICの通路部分”や“デッドスペース”も収納面積としてカウントされがちです。本当に収納として機能するか?を自分の目でチェックするのがポイントです。

簡単に収納率を算出する式:

項目説明
収納面積とはクローゼット・押入れ・納戸・床下収納など
延べ床面積とは1階・2階(全フロア)の合計面積
注意するべき点通路部分や“見せかけの収納”を除外する

将来を見据えた可変性のある収納計画

今は十分な収納でも、5年後・10年後も同じとは限りません。子どもの成長、趣味の変化、在宅ワークなど、ライフスタイルはどんどん変わっていきます。

だからこそ、最初から“可変性”を持たせた収納設計が大切です。たとえば、子ども部屋のクローゼットを間仕切りにして将来的に2部屋に分けられる設計にする。収納棚を可動式にする。家具で仕切ることで収納スペースを移動可能にする、など。「今の生活」だけを基準にすると、いずれ窮屈になります。未来の使い方まで想定することが、収納で後悔しないコツです。

家族

収納割合のNGケースとは?

「収納は多いはずなのに、なぜか片付かない」――そんな声、少なくありません。実は“収納率だけ”を見て家を建てると、思わぬ落とし穴にはまってしまうことがあります。このパートでは、収納の設計でよくある2つの失敗例を取り上げ、それぞれの原因と、どうすれば回避できたのかを具体的に解説します。「数字だけでは判断できない」という現実を知り、後悔しない収納づくりのヒントを掴んでください。

後悔

◼︎収納率は足りていたのに「使いづらい」?

延べ床面積に対して15%の収納率。数字だけ見れば理想的ですが、「なんか使いづらい…」と感じることがあります。その原因は、収納の“配置”や“形状にあります

たとえば、リビングの収納が小さく、逆に寝室の押入れが大きすぎる場合。普段使う物が取り出しにくく、不要な場所に収納スペースが余ってしまうことがあります。さらに、奥行きが深すぎる収納や、高すぎる棚などは、収納量はあっても「使いこなせない空間」になりがちです。

実際にあった例では、玄関横に2畳の収納を作ったのに、奥行きが深すぎて手前しか使わなくなり、「半分は死蔵スペースになった」という声も。収納は“出しやすく・戻しやすい”が基本。どこに、どんなサイズの収納があるかまで計画しなければ、「あるのに使えない収納」になってしまいます。

数字だけでは測れない、“使い勝手”を意識した設計が重要なのです。

玄関収納

◼︎モノの量を見誤って収納不足になった例

「新築時はスッキリだったのに、すぐに収納が足りなくなった」──これも非常によくあるケースです。その多くは、“モノの量”を正確に把握せずに間取りを決めたことが原因です。

特に子育て家庭や趣味が多いご家庭では、日々モノが増えていきます。洋服、おもちゃ、書類、道具…。意外と「今ある物」だけでなく、「これから増える物」を考えていない人が多いのです。

たとえば、ある家庭では「これからミニマリストになりたいから収納は少なくてもOK」と考え、収納率10%で設計。でも実際には子どもが成長するにつれて学校グッズが増え、収納が足りずに後から家具を買い足すことに。結果、動線が悪くなり部屋も狭くなってしまったそうです。

理想の生活と現実の暮らしは違います。モノの“将来量”を見込んで、余白のある収納を設計することが、長く快適に暮らすカギになります。

ウォークイン

理想の収納割合と後悔しない考え方

収納は、家づくりや暮らしの快適さに直結する“見えにくいけれど大事な要素”です。

本記事では、家の収納割合の理想が一般的に「延べ床面積の15%前後」とされる理由や、家族構成・ライフスタイルに応じた目安の変化、さらにはウォークインクローゼットの落とし穴や、収納効率を高める工夫などを幅広く紹介してきました。

特に重要なのは、「収納率」という数字だけを追うのではなく、実際の使いやすさや動線、将来の変化に対応できる柔軟性を含めて収納を計画することです。

「あとから家具を買い足して対応しよう」と考える方も多いですが、それでは部屋が狭くなり、動線が悪化してしまうことも。やはり収納は、最初から“暮らしの流れに沿って”考えるべきポイントなのです。

家の設計において、見た目や間取りのインパクトだけでなく、「生活のしやすさ」を支える収納計画にもぜひ目を向けてみてください。
しっかりと計算された収納は、家の中の「快適」と「安心」を支える、あなたの暮らしの縁の下の力持ちになります。

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